宿泊施設にとって、OTA 手数料は利益を大きく左右する重要なコストです。
近年は基本料率だけでなく、ポイント負担やクーポン費用などが重なり、想定以上の手数料になるケースも増えています。気づけば売上の15%前後が差し引かれていることも珍しくありません。
だからこそ今、必要なのは「仕組みの見直し」です。各OTAの手数料構造を正しく理解し、自社に合った販売戦略を組み立てること。そして、直接予約やSNSを活用し、OTA依存を減らすことが収益改善のカギになります。
本記事では、主要6社のOTA比較から、手数料を抑えながら集客力を高める具体策までをわかりやすく解説します。
主要OTA6つの手数料体系を徹底紹介!

宿泊施設の経営において、OTA(オンライン旅行代理店)の手数料は収益に直接影響する重要な要素です。各OTAの手数料体系を正確に把握し、最適な販売戦略を構築することで、利益率の向上と持続的な経営が実現できます。
ここでは、主要6つのOTAの詳細な手数料情報について紹介します。
楽天トラベル
| 楽天トラベル手数料一覧 | 基本手数料 | ポイント負担 | 事前決済 | 合計 |
| 1名利用 | 7.0% | 1.0% | +2.0% | 8.0%~10.0% |
| 2名以上 | 8.25% | 1.0% | +2.0% | 9.25%~11.25% |
| インバウンド | 10.0% | – | – | 10.0% |
楽天トラベルの基本手数料は利用人数により異なり、1名利用時7.0%、2名以上利用時8.25%となっています。これに楽天ポイント負担1%が追加され、実質的な手数料は1名利用8.0%、2名以上9.25%です。事前決済選択時は追加2%の手数料が発生します。インバウンド向けサービスでは一律10%の手数料設定となっています。
じゃらんnet
| じゃらんnet手数料一覧 | 基本手数料 | ポイント負担 | 事前決済 | 合計 |
| 1名利用 | 6.0% | 2.0% | +2.0% | 8.0%~10.0% |
| 2名以上 | 8.0% | 2.0% | +2.0% | 10.0%~12.0% |
| インバウンド | 12.0% | – | +2.0% | 12.0%~14.0% |
じゃらんnetの基本手数料は1名利用時6%、2名以上利用時8%の人数別設定を採用しています。基本手数料に加えてポイント負担2%(ポイント付与1%+販促プログラム1%)が追加され、実質的な負担は1名利用8%、2名以上10%となります。事前決済時は追加2%、インバウンド向けサービスでは12%の手数料が設定されています。
一休.com
| 一休.com手数料一覧 | 基本手数料 | 事前決済 | サイトコントローラー | 合計 |
| 通常プラン | 10.0% | +3.5% | 月額5,250円 または +0.5% | 10.0%~13.5% |
| ヤフーパック | 13.5% | – | – | 13.5% |
一休.comは人数に関係なく一律10%の基本手数料を採用し、シンプルで分かりやすい料金体系が特徴です。事前決済選択時は追加3.5%の手数料が発生し、合計13.5%となります。サイトコントローラー接続費用として月額5,250円の固定費、または基本手数料に0.5%上乗せのいずれかを選択可能です。高級宿泊施設特化の特性を反映した料金設定となっています。
Booking.com
| Booking.com手数料一覧 | 基本手数料 | プリファード | 決済手数料 | 合計 |
| 通常プラン | 12.0% | – | – | 12.0% |
| プリファード | 12.0% | +3.0% | – | 15.0% |
| プリファードプラス | 12.0% | +5.0% | – | 17.0% |
| ペイメント利用時 | 12.0% | – | +2.3% | 14.3% |
Booking.comの基本手数料は12%に設定されており、世界最大級の宿泊予約プラットフォームとしての集客力を反映した料金体系です。現地決済と事前決済で同率の手数料が適用されるシンプルな設定が特徴です。プリファードプログラム参加により3%または5%の追加手数料で上位表示が可能で、Booking.comペイメント利用時は2.3%の決済手数料が追加されます。
Expedia
| Expedia手数料一覧 | 地域・タイプ | 現地決済 | 事前決済 | 混合決済 |
| 主要都市ホテル | 東京・大阪・京都 | 15% | 18% | 18% |
| 主要都市旅館 | 東京・大阪・京都 | 12% | 15% | 13% |
| その他地域ホテル | 上記以外 | 12% | 15% | 15% |
| その他地域旅館 | 上記以外 | 12% | 15% | 13% |
Expediaの手数料は地域や施設タイプにより12%から18%の幅で設定される複雑な料金体系です。主要都市のホテルでは事前決済時18%、その他地域では12-15%となっています。マーチャントモデル選択時は追加6%の手数料が発生し、検索順位向上ツールでは1-25%の範囲で任意の追加手数料設定が可能です。地域差による競争力の違いが手数料に反映されています。
Airbnb
| Airbnb手数料一覧 | ホスト手数料 | ゲスト手数料 | 合計負担 |
| 分割手数料モデル | 3.0% | 14.2% | 17.2% |
| 統合手数料モデル | 14.0-16.0% | 0% | 14.0-16.0% |
Airbnbでは「分割手数料モデル」(ホスト3%+ゲスト14.2%)と「統合手数料モデル」(ホスト14-16%+ゲスト0%)の2つの料金体系を提供しています。分割手数料モデルでは業界最低水準のホスト負担が3%。統合手数料モデルではゲスト側の負担をゼロにして競争力のある価格提示が可能です。
OTA手数料を抑えるための戦略

OTA手数料の負担を軽減しながら効果的な集客を実現するためには、総合的な戦略アプローチが必要です。単純な手数料削減だけでなく、収益性の向上と持続的な成長を目指した施策を組み合わせることで、競争力を維持しながら利益率の改善を図れます。
料金設定と在庫管理の最適化
需要に合わせた料金とOTA配分で、手数料後の利益を守る
季節・曜日の需要差を前提に「いつ・どこで・いくらで売るか」を設計する。
高需要期:単価を守って強いOTAで取り切る
予約が入りやすい時期は、手数料込みで“適正価格”を設定。
- 手数料を見込んだ価格設計にする
- 集客力のあるOTAを優先して露出を確保
- 安売りせず、利益重視で販売する
低需要期:手数料の軽い導線に寄せる
需要が落ちる時期は、販売先とコストの最適化が効く。
- 手数料が低いOTAを優先活用する
- 直接予約の導線を強化する
- 時期限定のプランで稼働率を底上げ
差別化:手数料を上回る収益を作る
競合分析
周辺施設の料金と条件を把握し、勝てる価格帯と訴求軸を決める。
価値提案の設計
強みを言語化し、選ばれる理由を明確にする。
パッケージ化
付加価値を組み合わせ、価格競争から脱却して客単価を維持する。
実装イメージ
体験・食事・特典などをセットにし「同じ価格でもお得」に見せる。
OTA契約条件の見直しを行う
既存のOTA契約更新時は、過去の実績データを活用した手数料率交渉の絶好の機会です。年間予約実績、平均単価、顧客満足度などの具体的なデータを提示し、施設の価値をアピールすることで、より有利な条件での契約更新が期待できます。
複数施設を運営している場合は、グループ全体での予約実績を活用した包括的な交渉が可能です。施設単体では得られない大幅な手数料削減や特別な販促支援を獲得でき、グループ全体での収益性向上を図ることができます。
特定の季節やイベント期間に限定した特別な契約条件により、手数料負担を最適化できます。閑散期の集客強化を目的とした手数料優遇プログラムや、繁忙期の在庫確保を条件とした特別レートなど、時期に応じた柔軟な契約条件の交渉が重要です。
手数料の最適化を図る
サイトコントローラーの導入により、複数OTAの在庫・料金管理を効率化し、手作業によるミスや機会損失を防げます。リアルタイムでの在庫連動により、オーバーブッキングリスクを回避しながら各OTAで最適な料金設定を維持できます。
各OTAの顧客層や強み、弱みを把握し、戦略的な在庫配分と料金設定により全体的な収益性を最大化できます。ビジネス利用に強いOTAでは平日在庫を重点的に配分し、レジャー需要に強いOTAでは週末在庫を優先提供する戦略が有効です。
各OTAでの売上実績、手数料負担、集客コストなどの詳細なデータ分析により、投資対効果の高いOTAを特定し予算配分を最適化できます。単純な売上額だけでなく、利益率や顧客生涯価値も考慮した総合的な評価が重要です。
オプションサービスで収益を強化する
宿泊料金以外の追加収益源を開発することで、OTA手数料の負担を相対的に軽減できます。スパやエステ、レストラン、体験プログラムなどの館内サービスは、OTA手数料の対象外となる場合が多く、直接的な利益貢献が期待できます。
地域の特産品や施設オリジナル商品の販売、プレミアムサービスの提供により、宿泊料金に加えた収益の多角化を図れます。これらの追加収益はOTA手数料の影響を受けず、全体的な収益性の改善に大きく寄与します。
チェックイン時や滞在中の適切なタイミングでのアップセル・クロスセル提案により、宿泊客一人当たりの収益を効果的に向上させられます。部屋のアップグレードや食事プランの変更など、顧客ニーズに応じた柔軟な提案が収益性改善につながります。
リピーター獲得による手数料負担軽減策を取り入れる
優れた顧客体験の提供により、次回の直接予約につなげる戦略は、長期的な手数料削減において最も効果的なアプローチです。滞在中のきめ細かなサービス、個別対応、記念日のサプライズなど、印象に残る体験により顧客ロイヤルティを高められます。
独自の会員制度を構築し、直接予約者限定の特典やサービスを提供することで、OTA経由の顧客を自社の直接予約客へと転換できます。ポイント制度、早期予約割引、無料アップグレードなど、OTAでは提供できない付加価値の設計が重要です。
予約確定後から滞在後まで一貫したコミュニケーション戦略により、顧客との接点を最大化し次回の直接予約へとつなげられます。予約確認メールでの周辺情報提供、滞在後のサンクスメールでの次回予約案内など、段階的なアプローチが効果的です。
施設タイプごとに最適なOTAを選択する
高級旅館・ホテルでは、手数料の高さよりも顧客層の質と単価の向上を重視したOTA選択が重要です。一休.comやReluxなど高級志向の顧客に特化したプラットフォームでは、手数料は高めでも客単価と顧客満足度の向上が期待できます。
ビジネスホテルや中価格帯施設では、コストパフォーマンスを重視したOTA選択と効率的な運用が重要です。じゃらんnetや楽天トラベルなど比較的手数料の安い国内OTAを中心に活用し、平日のビジネス需要と週末のレジャー需要を効果的に取り込めます。
民泊や小規模施設では、初期投資を抑えつつ効率的な集客を実現するOTA戦略が重要です。Airbnbの分割手数料モデル(ホスト負担3%)を活用することで低コストでの集客が可能になり、地域特化型OTAとの連携で独自のポジショニングを確立できます。
OTA手数料が収益構造に与える影響の分析を行う
OTA手数料の1%の差が年間収益に与える影響を正確に把握することで、より戦略的なOTA選択が可能になります。年間売上1億円の施設では、手数料1%の差が100万円の利益差を生み出すため、長期的な視点での投資判断が重要です。
各客室タイプや価格帯におけるOTA販売の収益性を詳細に分析することで、最適な在庫配分戦略を構築できます。高単価の客室では手数料負担が高くても十分な利益を確保できる一方、低価格帯では手数料の影響が大きくなるため販売チャネルの選択が重要です。
OTA販売にかかる変動費(手数料)と、自社予約システムや人件費などの固定費を総合的に考慮した損益分岐点分析により、最適なOTA活用戦略を策定できます。予約チャネル別の収益性を正確に把握し、投資対効果の高いチャネルへ重点的に投資することが必要です。
ちなみに、OTAの管理業務を効率化して運用コストを抑えつつ収益を高めていく方法も1つです。以下の記事では、OTA代行サービスについて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
OTAだけに頼らず集客力をつける方法

OTAは強力な集客ツールですが、過度な依存は手数料負担の増加と収益性の悪化につながります。自社独自の集客力を育成し、OTAと自社チャネルをバランス良く活用することで、持続的な成長と収益性の向上を実現できます。
OTA脱却の方法については、こちらの記事を参考にしてみてください。
自社ウェブサイトとOTAを連携させ戦略を立てる
OTA掲載情報と自社サイトの一貫性を保ちながら、差別化ポイントを明確にすることで、顧客の信頼を獲得し自社サイトへの誘導を促進できます。基本情報は統一しつつ、自社サイト限定の特典や詳細な施設情報、スタッフの顔が見えるコンテンツで差別化を図ることが重要です。
OTAの高い認知度と集客力を活用しながら、巧妙に自社サイトへの誘導を行う手法が効果的です。OTA上では基本情報のみを掲載し「詳細は公式サイトで」といった形で誘導を促し、自社サイトでは写真ギャラリーの充実や周辺観光情報の詳細提供で付加価値を提供します。
適切な予約エンジンの選定と導入により、自社サイトでの直接予約を促進しOTA手数料を削減できます。操作性、デザインのカスタマイズ性、決済方法の豊富さ、モバイル対応などを総合評価し、予約完了までのステップを最小限に抑えた設計が重要です。
SNSマーケティングと組み合わせてリピーターを作る
インスタグラムやXなどのSNSを効果的に活用することで、OTA掲載では表現しきれない施設の魅力や雰囲気を視覚的に伝え、予約への関心を高められます。美しい料理写真、客室からの眺望、季節ごとのイベントなど、リアルタイムでの情報発信により継続的なエンゲージメントを構築できます。
OTA経由で宿泊されたお客様をSNSフォロワーに変換することで、次回の直接予約につながる長期的な関係性を構築できます。チェックイン時のSNSアカウント紹介、滞在中の写真撮影スポット案内、ハッシュタグ提案により、自然な形でSNS発信を促進できます。
SNSでの情報発信から直接予約サイトへの導線を明確に設計することで、手数料のかからない自社予約を促進できます。
- プロフィール欄への予約サイトリンク設置
- 投稿内での予約促進メッセージ挿入
SNS限定の特別プランや割引コード提供
これらの取り組みにより、SNS経由での予約インセンティブを高められます。
まとめ

本記事では、主要OTA6社の詳細な手数料体系と、手数料負担を軽減しながら効果的な集客を実現するための戦略について解説してきました。
重要なのは、単純に手数料の安いOTAを選択するのではなく、自社の施設特性、ターゲット顧客、収益目標に応じた総合的な戦略を構築することです。
また、OTAだけに依存せず、自社サイトとSNSマーケティングを組み合わせた独自の集客力を育成することが、長期的な競争力向上と収益性改善の鍵となります。直接予約の促進により手数料負担を軽減し、その分をサービス向上や施設投資に還元することで、顧客満足度と収益性の両立が可能です。
現代の宿泊業界では、デジタルマーケティング戦略の重要性がますます高まっています。特にSNSを活用した集客では、視覚的な魅力の発信、ユーザーとのエンゲージメント構築、そして直接予約への効果的な誘導が成功の要因となります。
OTA手数料の負担軽減と持続的な集客力向上を実現するためには、SNS戦略を核とした包括的なデジタルマーケティングアプローチが不可欠です。Instagram、X、Facebook等のSNSプラットフォームを戦略的に活用し、施設の魅力を効果的に発信しながら直接予約につなげる仕組みづくりをサポートいたします。
DotHomes SNS戦略支援サービスでは、宿泊施設様向けに特化したSNSマーケティング戦略の立案から実行まで、トータルでサポートしております。OTA依存からの脱却と自社集客力の強化により、収益性の向上を実現したい方はぜひご相談ください。




