PMS(Property Management System)は、予約、客室、会計、清掃、顧客情報などをつなぐ「運営の中枢」です。うまく使えると入力作業とミスが減り、情報共有が早くなり、数字を見て意思決定できるようになります。

一方で、「便利そう」「有名だから」「安いから」といった理由だけで選ぶと、連携不全や運用崩壊で二重入力に戻り、現場が疲弊することが珍しくありません。実際、導入したものの使いこなせず、結局Excelとホワイトボードに戻ってしまう施設も少なくないのが現実です。

この記事では、導入して終わりではなく運用定着まで見据えて、PMSを選ぶ判断軸を整理します。現状業務の棚卸しで詰まりを特定し、最小要件を決め、連携と例外処理を最優先で検証し、導入後30〜90日の運用設計までセットで決めることが成功の鍵です。

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PMSで失敗が起きるのは「連携」と「例外処理」

PMSの機能説明は各ベンダーのサイトに詳しく載っていますが、実務で本当に問題になるのは機能の多さではありません。

導入後に現場が困るのは、主に2つのポイントです。

連携不全による二重入力の発生

サイトコントローラー、自社予約エンジン、決済システム、清掃管理、会計ソフトなどとの連携が弱いと、データを複数のシステムに手入力する二重入力が発生します。「システムを導入したのに、かえって手間が増えた」という状況に陥るのは、この連携設計が甘いケースがほとんどです。

例えば、OTAからの予約がPMSに自動で入らず、フロントスタッフが手入力している。自社サイトからの予約とPMSが連携しておらず、ダブルブッキングのリスクがある。決済情報が会計ソフトに自動で流れず、月末に手作業で突合している。こうした状況は、PMS導入の効果を大きく損ないます。

例外処理の複雑さによる現場の詰まり

宿泊施設の現場は、レイトチェックアウト、部屋替え、領収書の分割発行、返金処理、団体予約の一括管理など、例外的な対応の連続です。

こうした例外処理がシステム上で重い操作になると、フロントが詰まり、ゲストを待たせることになり、結果として顧客体験と口コミ評価に悪影響を与えます。

通常業務はスムーズでも、例外処理に10分かかるシステムでは、繁忙期のフロントが回らなくなります。デモ段階では「こんな場合はどうするか」という例外シナリオまで確認することが重要です。

PMS選定でよくある失敗パターン

  • 営業資料の機能一覧だけで判断してしまう
  • 支配人だけがデモを見て、現場スタッフの意見を聞いていない
  • 月額料金の安さで選び、連携費用や追加オプションで結局高くなる
  • 導入後の教育とサポートを軽視し、現場が使いこなせない </aside>

PMSとサイトコントローラーの違い

PMS選定でよくある混乱が、「PMSとサイトコントローラーの役割の違い」を理解していないことです。

この2つは連携して使うものですが、それぞれ担当領域が異なります。

サイトコントローラーの役割

サイトコントローラーは、楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなどの複数のOTA(オンライン旅行代理店)に対して、在庫と料金を一括配信・管理するシステムです。各OTAに個別にログインして在庫を更新する手間を省き、ダブルブッキングを防ぐのが主な目的です。

サイトコントローラーが強いと、OTAからの予約管理は楽になりますが、館内のオペレーション(チェックイン、清掃指示、会計処理など)は改善されません。

PMSの役割

PMSは、予約管理、顧客情報管理、客室管理、会計処理、清掃管理など、館内オペレーション全般を統合管理するシステムです。フロントでのチェックイン業務、客室の稼働状況確認、売上レポートの自動生成などを一元化し、スタッフ間の情報共有をスムーズにします。

PMSが強いと、館内の業務効率が大幅に向上しますが、OTAへの在庫配信機能は限定的なことが多く、サイトコントローラーとの連携が必要になります。

多くの宿泊施設では、サイトコントローラーとPMSを連携させて使うのが理想的です。サイトコントローラーでOTA在庫を一括管理し、PMSで館内オペレーションを効率化する。この2つがスムーズに連携することで、予約から清掃、会計までの一連の流れが自動化されます。

PMS選定は「館内の詰まり」を解消する視点で

OTA在庫が安定していても、館内のオペレーションが回らないケースは非常に多いです。フロントでの待ち時間が長い、清掃指示が遅れる、売上集計に時間がかかる、といった「館内の詰まり」を解消するのがPMSの本質的な役割です。

PMS選定では、「館内のどこで詰まっているか」を明確にし、その詰まりを解消できる機能と連携性を最優先で確認することが重要です。

宿泊施設全体の生産性向上については、以下の記事で詳しく解説しています。

規模別に変わる「合うPMS」

宿泊施設の規模によって、必要なPMSの機能や運用の考え方は大きく変わります。自施設の規模に合わないシステムを選ぶと、過剰機能で使いこなせないか、機能不足で結局手作業に戻るかのどちらかになります。

小規模施設(客室数10〜30室程度)

小規模施設では、スタッフ数が限られているため、運用が複雑になるほど回らなくなります。高機能よりも、シンプルで直感的に操作できるシステムが適しています。

小規模施設に適したPMSの特徴は、初期費用と月額費用が抑えられていること、マニュアルを見なくても操作できる直感的なUI、スタッフが少なくても運用できるシンプルな設計、サポートが手厚く、困った時にすぐ相談できることです。

小規模施設では、PMSに多機能を求めるより、「予約管理」「客室管理」「会計処理」の基本機能が確実に動き、連携がシンプルなシステムを選ぶことが成功の鍵です。

中規模施設(客室数30〜100室程度)

中規模施設では、スタッフ数が増えることで情報共有のミスが発生しやすくなります。誰が何をしたか、どの客室がどの状態か、といった情報がリアルタイムで共有される仕組みが重要です。

中規模施設に適したPMSの特徴は、スタッフ間の情報共有がリアルタイムで行えること、権限設定が柔軟で、役割に応じたアクセス制御ができること、複数のOTAとの連携が標準機能として備わっていること、レポート機能が充実しており、売上分析がしやすいことです。

業務の標準化とルール化が進みやすいため、PMSの機能を最大限活用できる可能性が高くなります。ただし、スタッフ全員が使いこなせるよう、教育とマニュアル整備に時間を割く必要があります。

大規模施設(客室数100室以上)

大規模施設では、フロント、清掃、レストラン、宴会など複数部門が連携するため、部門間の情報共有とトラブル時の影響範囲が大きくなります。システムダウンが事業全体に与える影響も大きいため、サポート品質が実務上の重要要素になります。

大規模施設に適したPMSの特徴は、部門間連携が強固で、情報の一元管理ができること、大量の予約データを高速処理できる安定性、24時間365日のサポート体制、システムダウン時の復旧速度、カスタマイズ性が高く、施設独自の運用に対応できることです。

PMSの選定に加えて、導入プロジェクトの管理体制やスタッフ教育の計画も重要になります。段階的な導入や、部門ごとのテスト運用など、リスクを分散させる進め方が現実的です。

人件費の適正化と業務効率化については、以下の記事で詳しく解説しています。

比較軸を固定する

PMSを比較する際、製品名や価格だけで判断すると失敗しやすくなります。まず「何を基準に比較するか」を明確にし、全候補を同じ軸で評価することが重要です。

比較軸見るポイント確認方法落とし穴
連携標準連携/双方向/更新頻度仕様書と実機で確認「連携できます」で決める
現場フロークリック数/例外処理の重さ当日シナリオでデモ支配人だけで判断
コスト初期+月額+オプション+サポート見積もりを分解月額だけで比較
定着教育/マニュアル/レスポンス導入後支援の確認入れて終わり

連携の確認方法

「連携できます」という説明だけで安心してはいけません。標準連携なのか、追加費用が必要なのか、データは双方向で同期されるのか、更新頻度はリアルタイムなのか1時間ごとなのか、といった具体的な仕様を確認しましょう。

特に重要なのは、サイトコントローラー、自社予約エンジン、決済システム、清掃管理システム、会計ソフトとの連携です。これらが標準で対応しているか、別途連携開発が必要かを事前に確認してください。

現場フローの検証方法

デモは、実際の業務フローに沿って確認することが重要です。「予約を受ける→チェックイン→客室割り当て→清掃指示→チェックアウト→会計処理」という一連の流れを、デモ環境で実際に操作してみましょう。

特に、レイトチェックアウト、部屋替え、返金処理、団体予約など、例外的なケースの処理手順を確認してください。通常業務はスムーズでも、例外処理に時間がかかるシステムは現場で敬遠されます。

コストの正しい比較方法

月額料金だけで比較すると、導入後に追加費用が発生して予算オーバーになるケースがあります。初期費用(導入費、設定費、データ移行費)、月額基本料(客室数による従量課金の有無)、オプション費用(連携費用、追加機能、カスタマイズ)、サポート費用(問い合わせ対応、トラブル時の対応、バージョンアップ費用)を全て含めた総所有コスト(TCO)で比較しましょう。

コスト比較の実例

A社:月額3万円(安い)→連携費用10万円、初期設定費20万円、年間サポート費12万円

B社:月額5万円(やや高い)→連携標準、初期設定無料、サポート込み

一見A社が安く見えますが、年間総コストで計算するとB社の方が安くなるケースがあります。

定着支援の確認方法

導入後のサポート体制は、PMS選定で最も軽視されやすく、最も重要な要素の一つです。導入後の教育プログラムはあるか、マニュアルは分かりやすいか、問い合わせへの対応時間はどれくらいか、トラブル時の復旧体制は整っているか、といった点を確認しましょう。

特に、導入後30〜90日は現場が混乱しやすい期間です。この期間にどれだけサポートを受けられるかが、運用定着の成否を分けます。

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導入の進め方

PMS導入の成否は、導入日ではなく導入後30〜90日の運用定着で決まります。導入日はゴールではなく、導入日から現場が止まらない状態を作るのが真のゴールです。

ステップ1:現状業務の棚卸し

まず、予約受付→チェックイン→客室割り当て→清掃指示→チェックアウト→会計処理という一連の流れを、現在どのように行っているかを詳細に書き出します。この作業で、二重入力が発生している箇所、ミスが起きやすい作業、時間がかかっている工程を特定できます。

例えば、OTAからの予約をExcelに手入力している、清掃完了の連絡が口頭で行われ記録が残らない、売上集計に毎日30分かかっている、といった詰まりが見えてきます。こうした詰まりを解消することが、PMS導入の第一の目的です。

ステップ2:最小要件の決定

現状の詰まりが明確になったら、それを解消するために「絶対に必要な機能」と「あれば嬉しい機能」を分けます。全ての機能を求めると、システムが複雑になり、現場が使いこなせなくなります。

最小要件の例としては、予約情報の一元管理(OTA・自社サイト・電話予約)、客室の稼働状況のリアルタイム表示、清掃状況の記録と共有、基本的な売上レポートの自動生成などが挙げられます。これらが確実に動くことを最優先し、追加機能は運用が安定してから検討しましょう。

ステップ3:デモでの実機確認

デモは、現場スタッフも参加して、実際の業務シナリオで確認することが重要です。支配人やIT担当だけで判断すると、現場の使い勝手が見落とされ、導入後に「使いにくい」という不満が出ます。

デモで確認すべき項目は、通常のチェックイン処理(何クリックで完了するか)、レイトチェックアウトの処理手順、部屋替えの操作、返金・キャンセル処理の流れ、団体予約の一括管理、清掃完了報告の入力方法などです。特に例外処理の手順が複雑でないかを重点的にチェックしましょう。

清掃業務の効率化については、以下の記事で詳しく解説しています。

ステップ4:データ移行の設計

既存の予約データ、顧客情報、売上履歴などを新しいPMSに移行する作業は、想像以上に手間がかかります。データ移行は一発で成功することは少なく、テスト移行と検証を繰り返す必要があります。

データ移行で確認すべき点は、どのデータを移行するか(全期間か、直近1年分か)、データのフォーマット変換が必要か、移行後のデータ検証方法、移行失敗時の復旧手順です。

また、旧システムと新システムを並行運用する期間を1〜2週間設けると、移行リスクを大幅に減らせます。この期間は両方に入力する手間がかかりますが、安全性を優先すべきです。

ステップ5:運用定着の設計

導入後の最初の1ヶ月は、現場が混乱することを前提に計画を立てます。操作に慣れるまで時間がかかる、想定外のトラブルが発生する、スタッフから不満が出る、といったことは避けられません。

運用定着のために準備すべき項目は、スタッフ全員への事前教育(操作方法、トラブル対応)、マニュアルの整備(紙とデジタル両方)、社内ヘルプデスク担当者の指名、ベンダーサポートの活用計画、週次での振り返り会議の設定などです。

最初の30日で発生した問題を記録し、60日目までに改善策を実施し、90日目には通常運用が安定している状態を目指します。

実践チェックリスト(PMS選定・導入前に確認)

PMS選定と導入を進める前に、以下のチェックリストで準備状況を確認しましょう。

現状分析

  • [ ] 現在の業務フロー(予約→チェックイン→清掃→チェックアウト→会計)を書き出した
  • [ ] 二重入力が発生している箇所を特定した
  • [ ] ミスが起きやすい作業を特定した
  • [ ] 時間がかかっている工程を特定した

要件定義

  • [ ] 「絶対に必要な機能」と「あれば嬉しい機能」を分けた
  • [ ] 連携が必要なシステム(サイトコントローラー、決済、会計など)をリストアップした
  • [ ] 現場スタッフから意見を聞いた
  • [ ] 予算の上限を明確にした

比較検討

  • [ ] 連携の仕様を具体的に確認した(標準/双方向/更新頻度)
  • [ ] デモを現場スタッフも参加して確認した
  • [ ] 例外処理(レイトアウト、部屋替え、返金)の手順を確認した
  • [ ] 総所有コスト(初期+月額+オプション+サポート)を比較した

導入準備

  • [ ] データ移行の範囲と方法を確認した
  • [ ] テスト移行のスケジュールを立てた
  • [ ] 並行運用期間を設定した
  • [ ] スタッフ教育の計画を立てた

運用定着

  • [ ] 操作マニュアルを整備した
  • [ ] 社内ヘルプデスク担当者を決めた
  • [ ] ベンダーサポートの連絡先を共有した
  • [ ] 週次の振り返り会議を設定した
  • [ ] 効果測定のKPI(入力時間、ミス件数、残業時間)を決めた

まとめ

PMSは便利機能の多さより、連携の確実性と例外処理の軽さ、そして運用定着の支援体制が重要です。選定の成功は、導入日ではなく導入後90日の運用安定で決まります。

PMS選定の5つのステップ

  1. 現状業務の棚卸し:予約から会計までの流れを書き出し、詰まりを特定する
  2. 最小要件の決定:絶対に必要な機能と、あれば嬉しい機能を分ける
  3. デモでの実機確認:現場スタッフも参加し、例外処理まで確認する
  4. データ移行の設計:テスト移行と並行運用期間を設ける
  5. 運用定着の設計:導入後30〜90日のサポート体制を整える

これらのステップを踏むことで、導入後の混乱を最小限に抑え、現場が使いこなせるPMSを選ぶことができます。

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