グランピング施設の自社運営も行っている弊社の経験に基づいて、「宿泊者名簿」の必要性について解説します。チェックイン時に名簿の記入を求められて、予約時に記入したのに!と面倒に思ってしまうことはありませんか?この宿泊者名簿の記入について常々疑問と興味を抱いて来られた方も少なくないと思います。実は、宿泊者名簿の記入は法律での定めがあり、違反した場合、ホテル側・宿泊者側どちらにも刑罰があるんです。この記事ではなぜ宿泊者名簿が必要なのか、また必要項目や保存について紐解いていきます。これから宿泊施設開業を検討されている方から宿泊施設を利用される方にもピッタリの内容となっているので、ぜひ最後までお読みください。

宿泊者名簿とは

宿泊者名簿とは宿泊施設に備え付けが義務づけられている宿泊者の情報を記した名簿のことです。宿泊者名簿は歴史が長く、江戸時代から「宿帳」が身元確認の為に存在していました。では取得事項として必要なものはどんなものがあるのでしょうか。法律で定められた事項に各地域の条例に基づく事項が加えられる構成となっております。

法律で定められた宿泊者名簿記載事項は以下になります。

  • 宿泊者の氏名
  • 住所
  • 職業

上記に加え、日本に住所を持たない方は下記情報も必要です。

  • 国籍
  • 旅券番号

これらが基本の記載事項となり、地域毎の条例に基づく事項が追加されます。地域毎に異なり、社会情勢に応じて常にアップデートされているので、宿泊施設を構えている地域の行政機関に適宜確認されることをお勧めします。

法的に義務付けられているため必要

前述した通り、宿泊者名簿の作成は法律によって定められています。旅館業法第6条第1項と旅館業法施行規則第4条の2に記載がありそれぞれ罰則もあります。
宿泊施設側が宿泊者名簿を取得しておらず、保健所や警察署からの提出に応じられないと最大で50万円の罰金刑となりますが、宿泊者名簿をきちんと取得せずに旅館業を営んでいる事業者が多いのも事実です。宿泊者側は、宿泊者名簿の記載拒否や虚偽の記載等を行った場合、軽犯罪と同等の処罰が下されますが今はまだこの罰則は発生はしていないようです。

宿泊者名簿はなぜ必要なのか

旅館業法に定めがあり、江戸時代から継続して存在している宿泊者名簿はなぜ必要なのでしょうか。作成目的として以下3点が挙げられます。

  1. 忘れ物があった際に宿泊者と連絡を取るため
  2. 伝染病や食中毒などが発生した際の追跡する為 (感染症患者の感染経路を調査するパンデミック対策)
  3. テロや犯罪等の不法行為を未然に防止

現代においては、これらの情報を取得する方法がデジタル化されつつあります。弊社もコスト削減と人員不足の対応として、フロントの無人化を進めています。これらに対応したシステムも多数出てきているので、ぜひ検討してみることをお勧めします。

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保存方法と期限

宿泊者名簿は、「旅館業における衛生等管理要領」により保管・保存期間が義務付けられており、最低3年は保管しなければなりません。破棄について規定はない為、各施設の方針に準じます。
また宿泊者名簿は、「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」第4条1項に基づき、 電磁的記録による保存が可能です。
電磁的記録とは、法律で使われるパソコンなどのIT機器によるファイル保存のことです。必要に応じて、ディスプレイへの表示、プリントアウトが可能な状態であることが求められます。

まとめ

宿泊者名簿の作成と保管は、宿泊施設の運営において法的に義務付けられた重要な業務です。
名簿には宿泊者の基本情報が記載され、連絡や緊急時の追跡、そして法的なトラブルを防ぐ役割があります。

現代ではデジタル化も進んでおり、管理がより効率的になりつつあります。
宿泊施設の運営において、この名簿管理を疎かにすることはリスクを伴うため、確実に行いましょう。

宿泊者名簿は重要ですが、集客や効率的な管理体制の整備もまた、運営の成功には欠かせません。

もし、宿泊施設の集客において悩んでいる方は、私たちの提供する集客支援サービスをご検討ください。
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