グランピング事業を開業する際、必ず必要になるのが「旅館業法」の取得です。

ただ、どうやって旅館業法を取得すればいいのか、どんな書類が申請時に必要なのか、分からないのではないでしょうか?

この記事では、グランピングの開業に必要な旅館業法について解説します。
申請に必要な書類など気になる方は、ぜひご覧ください!

そもそも「旅館業法」とは?

旅館業法とは、昭和23年(1948年)に制定された法律です。
厚生労働省のホームページを確認すると、以下のように定義されています。

旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされている。
旅館業は「人を宿泊させる」ことであり、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれない。
また、「宿泊料を受けること」が要件となっており、宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けない。
なお、宿泊料は名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものは含まれる。
例えば、休憩料はもちろん、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費も宿泊料とみなされる。
また、宿泊施設付きの研修施設(セミナーハウス)等が研修費を徴収している場合も、例えば当該施設で宿泊しないものも含め研修費は同じとするなど当該研修費の中に宿泊料相当のものが含まれないことが明白でない限り研修費には宿泊料が含まれると推定される。
ただし、食費やテレビ使用料など必ずしも宿泊に付随しないサービスの対価は宿泊料には含まれない。

引用:厚生労働省「旅館業法の概要」

分かりにくいと思うので、かなり噛み砕いて説明しますね。

旅館業とは「お金をもらって人を泊める仕事」を指します。
「泊まる」とは「布団を使って施設を利用すること」と定義しており、つまり「布団を使って寝る場所を提供すること」が旅館業の特徴です!

旅館業は「人を泊めること」が仕事の本質。
例えば、アパートや間借り部屋のように生活の拠点となる場所の提供は旅館業ではなく、貸室業や貸家業と言います。

また「宿泊料をもらうこと」が旅館業の条件です。
お金をもらわずに人を泊める場合、旅館業には当てはまりません。

宿泊料には、布団や部屋の使用料が含まれます。
「休憩料・布団のレンタル料・布団のクリーニング代・光熱費・清掃代」なども含まれるという訳です。

さらに、宿泊施設を持つセミナーハウスなどが研修費を徴収している場合、宿泊料に相当する金額が含まれていると考えられる場合も宿泊料と見なされます。
ただ、食費やテレビ使用料など、必ずしも宿泊に関係しないサービスの料金は宿泊料には含まれません。

要するに「旅館業」とは、お金をもらって人を泊める仕事で、布団を使って寝る場所を提供する人に当てはまる法律です!
グランピングの場合、お客さまに宿泊を提供するので、旅館業法は避けられません。

旅館業法の種別

旅館業には、3つの種類があります。

旅館・ホテル営業旅館やホテルのように、宿泊施設を設けて、宿泊料金を受け取り、人を泊める営業です。
分かりやすくいうと、次に紹介する「簡易宿所営業や下宿営業に含まれないもの」を指します。
簡易宿所営業多人数が共用する構造や設備を持つ施設。
かつ、宿泊料金を受け取って人を泊める営業で、下宿営業に含まれないものです。
下宿営業1ヶ月以上を単位として宿泊料を受け取り、人を泊める営業です。

グランピング施設の開業において当てはまるのは「簡易宿所営業」。
以下のように、簡易宿所営業は客室数に規制が無いという特徴があります。

出典:厚生労働省ホームページ
出典:厚生労働省「資料6 簡易宿所営業に関する規制等」(2023年9月21日に利用)

旅館業を経営するには国の許可が必要

グランピングを営業するには、以下のいずれかに当てはまる方からの許可が必須です。

  • 都道府県知事
  • 保健所設置市または特別区においては市長
  • 保健所設置市または特別区においては区長

この許可を得るためには、旅館が特定の基準を満たしている必要があります。

例えば、建物の構造や設備が決められた基準に合っていることです。
また、旅館を運営する際には、都道府県の条例に従って「換気・採光・照明・防湿・清潔」などの衛生基準も守らなければなりません!

旅館業法の許可を得る4つの流れとは?

旅館業法の許可を取るためには、次のような流れがあります。

  1. 事前相談
  2. 申請準備
  3. 施設検査
  4. 営業許可

旅館業法の取得に掛かる日数は、おおよそ半年から1年程度を要する場合が多いです。
そのため、準備や申請の段階で法的要件をしっかり把握し、十分な準備期間を確保しておきましょう。

事前相談

グランピング施設を開業予定の人が、地方の役所や関連機関に質問や相談することを指します。

この相談は、グランピングを開業するために必要な許可を取るための大切なステップです。
正しい情報を得たり、必要な手続きやルールを理解したりするために、必ず行うことをおすすめします。

事前相談には、例えば以下のようなメリットがあります!

  • 手続きの理解と進行
    • 事前相談を通じて、営業許可の申請に必要な手続きや書類や基準を理解できます。
      これにより、申請時の手続きをスムーズに進められることでしょう。
  • 規制や基準の把握
    • 旅館業には、建築基準法や消防法といった法的規制や基準があります。
      事前相談を通じて、これらの規制や基準を理解し、適切な運営計画を立てられることでしょう。
  • 必要な資料や書類の確認
    • 当然ながら、営業許可の申請には必要な資料や書類を提出しなくてはいけません。
      小難しいうえに豊富な種類の書類を確認できるため、正しく申請することに繋がります。
  • 問題や障壁の事前対応
    • 申請にあたって、トラブルというものは付きもの。
      事前相談することにより、起こり得る問題を予測でき、その対応策を考えることができます。

事前相談を怠った結果、予定していた土地での開業が行政にNGを出されるケースが実際に発生しています!

このような事態を避けるためにも、営業許可申請の準備段階で必ず行います。
事前相談は、旅館業法の許可を得るための重要なステップであり、欠かせない要素です!

申請準備

旅館業の申請に必要な書類は、以下の通り。

  • 旅館業営業許可申請書
  • 申告書
  • 配置図・各階平面図・正面図・側面図
  • 配管図
  • 定款または寄付行為の写し(法人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 申請手数料

また、以下は施設の完成後に提出しなくてはいけない書類です。

  • 建築基準法に基づく検査済証の写し

これらの書類を全て揃えて指定の保健所に提出することで、旅館業の申請ができます!

施設検査

グランピング施設が、法律や安全に関する基準を守っているかチェックします。

この検査は「地方自治体の観光課・保健所・消防署・建築行政」などが担当。
以下は、旅館業法の許可を得るための必要な検査です。

  • 建築・施設検査
    • グランピング施設の建築構造や設備が、建築基準法や安全基準に適合しているかどうか検査します。
      これには「建物の安全性・避難経路・消火設備・衛生設備・客室や共用スペースの配置」などが含まれます。
  • 消防検査
    • 消防法に基づく消防設備や火災対策に関する検査が行われます。
      これには「避難経路の確保・非常口の設置・消火設備の点検・火災報知機の設置」などが含まれます。
  • 衛生検査
    • 衛生管理や食品衛生に関する検査が行われます。
      「厨房や食品の取り扱い・施設の清潔度・飲料水の安全性」などが対象です。
  • 設備検査
    • 旅館業に必要な設備が適切に整備されているかどうかを検査します。
      これには「客室・風呂・トイレ・共用スペース・エレベーター」などの設備が含まれます。
  • 運営計画の検査
    • 事業者が提出する「運営計画書・安全管理計画・衛生管理計画」などの内容が法的要件に適合しているかどうかを検査します。
  • 料金表示の検査
    • 施設の料金表示が適正かどうかを検査します。
      料金の表示内容や表示方法が規定に適っているか確認します。

これらの厳しい検査を通じて規定や基準を遵守しているか判断され、営業許可が得られるかどうかが決定されます。

営業許可

旅館業法に基づく検査に合格し、関連する手続きが完了すると、地方自治体から正式に営業許可が交付されます。
これにより、旅館業の営業を正式に始められます。

営業許可の下りた宿泊施設は、様々なOTAに登録や掲載することが可能です。
インターネット経由での予約や販売ができ、広範な顧客層に宿泊施設を紹介することができるようになります!

開業することがゴールではない

旅館業の許可が下りるまでには、半年から1年ほどの長い期間を要します。
そのため、ようやく許可が得られたことに安堵して、燃え尽きてしまう人も珍しくありません。

許可取得後においては、集客の難しさや運営の課題が待ち受けています。
この先、競争が激化して、集客や運営がますます困難になると言われているのがグランピング業界です。

そんな将来の不安を取り除き、理想のグランピング運営を実現するためには、専門的なサポートが欠かせません。

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