グランピング開業を検討されている方にとって、最も重要なのは具体的な数字に基づいた事業計画です。
この記事では、初期費用試算表、月次収支予測、そして開業後90日間の集客計画という3つの成果物を、あなた自身の条件で作成できるよう、実践的な情報をお届けします。
既存宿泊施設の新規事業として検討されている方、遊休地を活用したい土地オーナーの方、そして小規模での個人開業を目指す方まで、すべての方に活用いただける内容となっています。
もし、本格的にグランピング施設の開業を進めて行きたいとお考えの方は、弊社の無料相談をおすすめします。
無料相談で専門家のアドバイスを受けることで、より精度の高い事業計画を作成できるはずです。

グランピング開業の初期費用について解説

グランピングの集客支援を行っている当社の調査では、グランピング施設の開業には最低でも4,000万円の初期投資が必要となることがわかっています。
加えて、他施設との差別化を図り、安定した収益を確保するためには、一定のクオリティを保つ投資が不可欠です。
ここでは、土地取得から施設建設、インフラ整備まで、開業に必要な費用の内訳を詳しく解説します。
施設費用の考え方|ドーム・テント・キャビンの選定基準
グランピング施設運営の心臓部となる宿泊施設選びは、初期投資の成否を左右する最重要ポイントです。
ドーム型、テント型、キャビン型という3つの主要タイプには、それぞれ耐候性、断熱性、投資回収期間という3つの評価軸で大きな違いがあります。
タイプ | 規模・仕様 | 購入費用 | 総投資額(建設・内装含む) | 特徴・利点 | 投資回収期間(目安) |
---|---|---|---|---|---|
ドームテント | 直径6~8 mが一般的 | 海外製:約100万円日本製:250~350万円 | 1棟あたり800~1,000万円 | ・日本製:気候に合った設計・建築確認通過率が高い・海外製:安価だが基準適合に注意 | 約1〜3年 |
ヴィラ・コテージ | 本格的建築物 | ―(購入+内装含) | 1棟あたり1,500~4,000万円 | ・天候に強い構造・ファミリー層や女性に人気 | 数年以上 |
トレーラーハウス | 移動可能・設備完備 | 500~1,000万円 | (購入費用がほぼ総額) | ・シャワー・トイレ完備・移動できる独自性 | 約4~10年 |
インフラ・造成費用のチェックリスト
グランピング施設の開業では、建物本体以上に費用の差が大きいのがインフラ整備や造成工事です。
特に自然豊かな地方では、給排水工事だけで500万~1,000万円かかることも珍しくなく、上下水道の引き込みは既存配管からの距離が100m延びるごとに約100万円の追加費用が発生します。浄化槽の設置が必要な場合はさらに費用が膨らみます。
電気設備についても、通常の住宅より大きな容量が必要で、グランピングでは3~5倍の電力を想定するため、キュービクル設置に300万~500万円かかるケースがあります。
また、5棟規模の施設には約2,000㎡(600坪程度)の土地が必要です。河口湖のような人気エリアでは700坪で2,500万円と高額ですが、地方では1,000㎡あたり数十万~数百万円で土地を購入できる場合もあります。
さらに、アクセス道路の整備も見落とせないポイントで、大型車両が通行できる幅4m以上が必要です。道路の拡幅工事には1mあたり30万~50万円の費用がかかります。
開業に必要な許認可・保険費用
グランピング開業には、旅館業法に基づく簡易宿所営業の許可が必須で、申請関連費用は約50万~100万円かかります。
さらに消防法対応として、自動火災報知設備や誘導灯の設置に1棟あたり30万~50万円が必要です。
また、保険面では、施設賠償責任保険や火災保険に加え、食事提供時は食品営業許可と生産物賠償責任保険が求められ、初期費用は約30万円。
加えて監視カメラやWi-Fi、PMSなどのシステム導入に約70万円、ランニングコストも見込む必要があります。
収支予測と事業計画の作り方

グランピング事業を成功させるために、収支を現実的に把握し、入念な事業計画を立てることが大切です。実際の運営データでは、約2億円の投資規模で年間売上約1億円、表面利回り50%という高い収益性を実現している施設もあります。
ここでは、売上シミュレーションから損益分岐点の算出、資金調達まで、事業計画作成の具体的な手法を解説します。
売上シミュレーション|3つのシナリオ作成
グランピング事業の売上は、客単価×稼働率×棟数×営業日数で計算できます。
計画を立てる際は、保守的・標準的・楽観的の3つのシナリオを用意するのが現実的です。
- 保守的シナリオ:客単価2.5万円、稼働率40%→年間売上約1,825万円
- 標準シナリオ:客単価3万円、稼働率50%→年間売上約2,737万円
- 楽観的シナリオ:客単価3.5万円、稼働率60%→年間売上約3,832万円
(※5棟運営を想定)
実際には稼働率50%前後が中央値とされるため、標準シナリオを基準に計画するのが妥当です。
また、季節変動も見逃せません。ゴールデンウィークや夏休みは稼働率が80%を超える一方、1〜2月の閑散期は20%程度まで落ち込むこともあります。月ごとの収支にこの変動を反映し、運転資金を十分に確保することが安定経営のカギとなります。
損益分岐点と投資回収期間の算出
グランピング経営では、費用は大きく変動費と固定費に分かれます。またそこから損益分岐点と投資回収期間を計算することが重要です。
項目 | 内容 | 金額・条件 | ポイント |
---|---|---|---|
変動費 | 清掃費・リネン代・アメニティなど | 売上の25〜35% | 稼働率に比例して増減 |
固定費 | 人件費、地代家賃、減価償却、マーケティング費用など | 10棟規模で年間約3,000万円(人件費)例:月額120万円 | デジタル化で数百万円〜数千万円削減可能 |
損益分岐点 | 固定費÷限界利益率 | 月売上171万円(固定費120万円÷利益率70%) | 5棟運営で稼働率約38%に相当 |
投資回収 | 実質利回り(業界水準) | 利回り25%前後 | 初期投資5,000万円→年間利益1,250万円→約4年で回収 |
資金調達と運転資金計画
グランピング事業の資金計画では、自己資金と借入のバランスが重要です。理想は初期投資額の30%を自己資金で準備すること。例えば最低投資額が4,000万円なら、自己資金1,200万円+融資などで2,800万円を確保する形です。
融資は日本政策金融公庫の新規開業資金が利用しやすく、金利は1.5~2.5%と低く、最大7,200万円まで借りられる可能性があります。
さらに、事業を安定させるには運転資金=月間固定費の6か月分を準備することが鉄則です。開業直後は稼働率が低く、特に最初の3か月は赤字になりやすいため、この資金が「事業の生命線」になります。
また、忘れがちな初期投資として、ホームページ制作(50万〜100万円)や写真撮影(30万〜40万円)などのマーケティング費用も計画に入れておくことが大切です。
開業後90日間で行うべき集客施策

開業後の90日間は、グランピング施設の未来を決める勝負期間です。この間にどれだけ認知度を高め、稼働率を伸ばせるかが安定経営のカギとなります。以下では、チャネル別の集客戦略・価格戦略・リピーター施策をわかりやすく整理しました。
チャネル別の集客戦略と投資配分
開業から90日間は、以下のロードマップで集客するのがおすすめです。
期間 | 主な施策 | 具体的な行動 | 目標 |
---|---|---|---|
1〜30日目 | OTAに集中 | ・楽天トラベル、じゃらん、Booking.comに登録・手数料15%を支払い集客基盤をつくる | ・稼働率30%・レビュー10件獲得 |
31〜60日目 | SNS運用を本格化 | ・Instagram/TikTokで1日3投稿・夕暮れの施設写真、朝食風景など非日常感を発信 | ・フォロワー1,000人・SNS経由で月5件以上予約 |
61〜90日目 | 直販サイト強化+広告投資 | ・OTAより10%安い価格を提示・Google広告・Facebook広告を月10万円投下 | ・200件のサイト訪問・10件の予約 |
1~30日目は即効性のある施策を実施し、時間が経つにつれ、収益性の高い施策へと切り替えていく運営方針を取ると、集客力と収益性を最大化できます。
稼働率を上げる価格戦略
開業直後は、まず「体験者を増やすこと」に注力する必要があります。そのため、通常料金の70%をオープニング価格として設定し、多くのゲストに利用してもらいます。たとえば1棟2.1万円という設定でも、5棟のうち半分が稼働すれば月商は約157万円となり、最低限の運営費をまかなうことができます。この時期の最大の目的は、高評価レビューを確実に獲得することです。
レビューが10件を超え、評価も4.5以上を維持できるようになった段階で、段階的に価格を戻していきます。最初は通常料金の80%、次に90%、そして3か月後には正規料金へと移行します。仮に稼働率が少し下がったとしても、客単価が上がることで売上はむしろ増加していきます。
さらに、閑散期には平日限定で通常料金の60%という割安プランを導入し、2泊以上の連泊に対しては追加で10%の割引を適用することで、空室を減らしつつ売上を安定させる工夫を行います。
つまり、最初は割安で口コミを集め、信頼を築いたうえで価格を徐々に戻し、閑散期には柔軟な割引を活用する。この流れが、稼働率を維持しながら売上を最大化するための合理的な価格戦略といえます。
リピート率30%を実現する仕組み
LINE公式アカウントを活用した会員制度の構築が、リピート率向上の最重要施策です。チェックアウト時にLINE登録を促し、次回予約で使える10%割引クーポンを配布します。登録率60%、クーポン使用率20%を達成できれば、全体のリピート率30%という目標は十分に達成可能です。
次回予約特典は、割引だけでなく体験価値の向上も重要です。アーリーチェックインやレイトチェックアウト、ウェルカムドリンクのアップグレードなど、コストを抑えながら満足度を高める特典設計が効果的です。また、宿泊から1週間後にサンクスメールを送信し、次回予約を促すタイミングも重要なポイントとなります。
こういった仕組みづくりは、実際のデータに基づいて実施したほうがより大きな効果を得られるでしょう。気になる方は、まずは無料相談からお気軽にご連絡ください。

立地別・規模別の成功モデル

グランピング事業の成功は、立地条件と事業規模の適切な組み合わせにかかっています。投資額や運営体制に応じて、最適なビジネスモデルは異なります。ここでは、少額投資から本格投資まで、3つの代表的な成功モデルを詳しく解説し、それぞれの特徴と収益性を明らかにします。
少額投資モデル(2-4棟/3,000万円以下)
2〜4棟規模で3,000万円以下に抑えた「少額投資モデル」は、オーナー自らの運営によって高利回りを実現できる有効な戦略です。
小規模だからこそ初期投資を抑えられ、オーナー自らが現場に関わることで人件費を削減できます。その結果、実質利回り25%以上を見込める点が大きな魅力となります。また、ターゲットをファミリー層や地元客に絞ることで、安定した需要を確保できます。
例えば、地域の農家と連携した収穫体験や、近隣の職人による工芸教室など、土地ならではの体験を提供することで客単価は2.5万円から3.5万円へ引き上げられます。さらに、4棟で稼働率50%を維持できれば、月商150〜250万円、年商2,000万円前後の規模が見込めます。
つまり、「少額投資モデル」は小規模で始めやすく、地域体験を武器に安定収益を狙える、再現性の高いグランピング運営の形といえます。
中規模投資モデル(5-8棟/5,000-8,000万円)
5〜8棟の中規模投資モデルは、費用対効果と収益性のバランスが最も優れた事業規模であり、安定した利益を狙える戦略です。
この規模では、カップルや女子旅をメインターゲットにし、SNSで拡散されやすいインスタ映え要素や充実したアメニティといった差別化ができるようになります。その結果、初期投資が5,000〜8,000万円であっても、表面利回り50%前後を維持できるのが強みです。
例えば、自社サイトの強化やSEO対策、リスティング広告への継続投資によって、OTA依存から脱却可能。仮に8棟規模で稼働率50%を達成すれば、月商400〜600万円、年商6,000万円規模となり、実質利回り25%で年間1,500万円の利益が見込めます。
本格投資モデル(10棟以上/1億円以上)
10棟以上の大規模投資モデルは、初期投資1億円超という大きな資金が必要ですが、ブランド構築と高付加価値サービスにより、短期間で投資回収できる強力なモデルです。
富裕層や企業研修といった高単価セグメントをターゲットにできるため、客単価は5万円以上を狙えます。さらに専任スタッフによる24時間対応やコンシェルジュサービスを提供することで、ラグジュアリーホテルに匹敵する体験を演出できます。その結果、稼働率も年間60%以上を維持しやすく、高い収益性を確保できます。
10棟規模では年間3,000万円の人件費がかかりますが、その分、手厚いサービスを実現可能です。加えて、年会費10万円の会員制度を導入することで、優先予約権や特別価格、限定イベント参加などの特典を提供し、安定した収益基盤を築けます。こうした取り組みにより、月商800万円以上、年商1億円を超える規模が見込めます。表面利回り50%を達成できれば、投資回収はわずか2〜3年で可能です。
つまり、大規模投資モデルは「高額投資と引き換えに、ブランド力・高単価顧客・短期回収」というメリットを兼ね備えた、最もスケールの大きなグランピング運営モデルと言えます。
まとめ|今すぐ始める3つのアクション

この記事では、
- 初期費用の内訳(施設選び・インフラ整備・許認可)
- 収支予測の立て方(シナリオ別売上試算・損益分岐点・投資回収期間)
- 開業後90日間の集客施策(OTA→SNS→直販サイト強化)
- 規模別成功モデル(少額・中規模・大規模投資の3パターン)
を解説しました。
グランピング事業を成功に導くポイントは、
- 数字に基づいた現実的な収支計画を立てること
- 開業直後の90日間で認知度とレビューを一気に獲得すること
- 立地や投資規模に応じた最適な運営モデルを選ぶこと
にあります。
ただし、実際には土地条件や資金状況、ターゲット層によって最適解は変わります。だからこそ、専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った事業計画を練ることが成功への近道です。
本格的に開業を検討されている方は、ぜひ一度 無料相談をご利用ください。あなたの条件に合わせた初期費用試算や集客シミュレーションを一緒に作成し、実現可能性の高い事業計画に仕上げていきましょう。
